12/29 若い人のための日曜日の聖書  聖家族の主日 マタイ2:13-15, 19-23

バンクシーの「ベトレヘムの傷跡」。それでも星が輝いている!

今年のクリスマスの直前、ネットで衝撃的な画像を見つけました。

マリア様とヨゼフ様、そして牛とロバの4体の人形が飼い葉桶のイエス様を見守る。

カトリック教会にこの季節必ず作られる「家畜小屋」の聖家族の聖なる、幸せそうな1シーン・・・ではあるのですが、それがコンクリートの壁の前に置かれ、ちょうど星が輝くか天使が舞うかする聖家族の頭上の位置に、銃弾の痕がまるで星のように・・・

バンクシー(イギリスのストリートアーティスト、政治活動家)の最新作「ベトレヘムの傷跡」でした。

ヨルダン川西岸のパレスチナ自治区ベツレヘムの現状にキリストが生まれた、という設定で、イスラエルとパレスチナを隔てる壁には、愛、平和などの文字が落書きのように書かれていました。

私はこの画像を見た瞬間、この絵はご降誕の本質を表している、と感じました。

二千年前も、今も、イエス様はまさに「壁」を打ち壊して平和をもたらすために生まれてくださるのです。おそらく、打ち壊しても打ち壊しても、私たちが再び壁を築いてしまうので、それで、教会では毎年クリスマスをお祝いするのです。

日本の社会は、クリスマスの影はまったく拭い去られて、今はすっかり暮とお正月のムード。その中で祝う聖家族の主日に、生まれたばかりのイエス様をそっとそっと抱いてエジプトへと旅立ったマリア様、ヨゼフ様に倣って、平和という壊れやすいものを大切にし、それを阻止する壁という強固なものに対決する生き方を選びたいです。

マリア様、あなたの腕の中のおさな子が、びっくりして目を覚まさないように、そっとそっと、そして力強く、平和を求めることができるよう、助けてください。   (Sr.斉藤雅代)

「ベトレヘムの傷跡」。そして、わが修道院のかわいい御子。

≪聖書箇所≫ マタイ2:13-15, 19-23

占星術の学者たちが帰って行くと、主の天使が夢でヨセフに現れて言った。「起きて、子供とその母親を連れて、エジプトに逃げ、わたしが告げるまで、そこにとどまっていなさい。ヘロデが、この子を探し出して殺そうとしている。」ヨセフは起きて、夜のうちに幼子とその母を連れてエジプトへ去り、ヘロデが死ぬまでそこにいた。それは、「わたしは、エジプトからわたしの子を呼び出した」と、主が預言者を通して言われていたことが実現するためであった。
ヘロデが死ぬと、主の天使がエジプトにいるヨセフに夢で現れて、言った。「起きて、子供とその母親を連れ、イスラエルの地に行きなさい。この子の命をねらっていた者どもは、死んでしまった。」そこで、ヨセフは起きて、幼子とその母を連れて、イスラエルの地へ帰って来た。しかし、アルケラオが父ヘロデの跡を継いでユダヤを支配していると聞き、そこに行くことを恐れた。ところが、夢でお告げがあったので、ガリラヤ地方に引きこもり、ナザレという町に行って住んだ。「彼はナザレの人と呼ばれる」と、預言者たちを通して言われていたことが実現するためであった。

わが修道院の御子の頭上にも、希望の星が。