巡礼初心者長崎へ行く その3

風情のある路面電車で浦上から長崎に向かい、やっと駅前のホテルに着くとお腹がペコペコ、体もクタクタ。それもそのはず、もうすでに2時半になっていた。

コンビニで買ってきたサンドイッチと野菜ジュースで一息つき、そういえば…と、駅の観光案内所で地図をいただいた時、そこにいた女性がこれもどうぞと差し出したパンフレットのことを思い出した。そして彼女は、こう一言付け加えた。「外海も巡礼にはいいところですよ」。外海?聞き覚えのある名称…、でも何処のことやらそこに何があるのかも分からない。急いでパンフレットを開いてじっと見ていると、ドロ神父様の名前を発見!あっ、あの「ドロ様そうめん」の神父様。しかし、長崎の街からはかなり距離があり、一泊だけで明日つくばの共同体に戻る私には、到底無理な話と思いながらバスの時刻表とにらめっこ…早朝一番のバスならいけるかもしれない!あわてて、予定を変更し、今日のうちに大浦天主堂と西坂(二十六聖人)に向かうことにした。時計はすでに3時半を回っていた。

再び路面電車に乗り、徒歩で大浦天主堂に向かうと、港に停泊している外国の大型観光船が見えた。もう午後4時近くだというのに、大勢の観光客で周辺が賑わっているのはそのせいだろうか。

大浦天主堂の受付で「巡礼中のシスター」と身分を明かし、足早に階段を上って教会に入った。ここは、1865年パリ外国宣教会によってフランス人居留民のために建てられた教会で、当時は人々から「フランス寺」と呼ばれていた。二百年以上神父様不在の中で信仰を守り続けてきたキリスト者たちが、開国後、次々に信仰告白に訪れた場所である。小さな教会ではあるが、建物にもご像にも歴史を感じさせる重厚さがにじみ出ている。天主堂の歴史を語るアナウンスは、観光客向けなのだろうが、かつて何百年も自由に祈れる日を待ち続けた人たちと、ここで時間を共にしたい私には、もう少し静寂の時が欲しかった。隣接する趣のある資料館(かつての神学校)は、うって変わって人影もまばらだったが、閉館時間が迫るなか大急ぎで回り、何だかよく分からないまま出口へ。私が出るや否や閉館。もう少し時間があったら…。     (Sr.高橋香久子)