7/15 若い人のための日曜日の聖書  年間第15主日 マルコ6:7-13

旅行や出張に行くとき、あなたの必須アイテムは何ですか?

いくつかのエピソードを紹介しましょう。

ひとつは、M学園中学校のグリーンスクール。二泊三日だったか、三泊四日だったかの校外学習に、大きな大きなバッグを背負って来た女の子がいました。バッグの重みで、彼女はよたよたしていました。

担任の先生たちが驚いて荷物を調べたところ、出てくる出てくる、大きなバスタオルが日数分、様々な種類の歯磨きチューブが7つ…

およそ半分を取り分けて、送ってきたお母様に持って帰っていただきました。

二つ目は、SS学院英語科のカナダ修学旅行の説明会。

「先生、シャンプーやリンスや歯磨きは持って行くんですか?

旅程は2週間ですから、持って行くとなると結構な重さになります。

「1、   2回分持って行って、あとはあちらのスーパーで買い物しても楽しいわよ。よく知っているメーカーのものでも、パッケージや香料が違っていたりして。使いきれなかった分を持って帰ったら、自分へのおみやげになるしね」と私は勧めました。

「でも先生、私の髪質に合わなかったら?

そうか、そういう問題か。そこで、私は話しました。海外旅行に、「日本における私の日常」をすべて持ち込むことはできないし、そんなことをしたら何のために海外に行くか分からないと。

生徒たちは、ふーん、そんなものか、というような顔で聞いていました。

かてて加えて、初めて海外に子どもを出す親御さんからは「何かあったら心配だからVISAカードを持たせてもいいですか」という質問がありました。

とんでもない、海外でカードをなくしたりしたら、「何かあったら」どころではありません。

「大丈夫です。私のカードで対応しますから」。(こういう時のために、私たち修道者もカードを会から預けられています)

さて、今回のイエス様は、さすがに素晴らしい教師です。宣教旅行に送り出すにあたって、まず弟子たちに一番大切なものをお与えになりました。

悪霊を撃退する聖なる力、とでも言い換えたらいいでしょうか。

その上で、こまごまと弟子たちにお話しになります。決して楽な旅でないと知りながら、あえて必要なもの以上は持たないことを勧めるのです。

さて、二千年後を生きる私たちにも、この力は与えられているし、さらにこの勧めも有効だ、と私は思っています。

イエス様を信じる、ということそのものが、悪霊を撃退する原動力ですし、病人を癒す奇跡は行えなくても、苦しむ人と共にいること、話を聞いてさしあげることはできます。場合によっては、物理的な苦しみを取り除くより以上に、その人を生き生きさせることに繋がります。

日本には、昔から「裸一貫からたたきあげた」という言い回しがあります。文字通り、自分の身体以外に持ち物がなかったのでしょうが、「裸」だったからこそ、目指すところにたどり着いたのかもしれません。物で武装していたら、そこに安住してしまうかもしれません。弟子たちも、もし物で武装していたら、知らない人の家に宿を乞うことはしないでしょう。

主よ、知らない人に宿を乞うどころか、知らない人に話かけるのさえためらわれる私ですが、せめて物を持つことで「これで大丈夫」と思い込まないよう助けてください。裸で、空の手で、あなたのために生きられますように。  (斉藤雅代)

 

≪聖書箇所≫ マルコ6:7-13

  (そのとき、イエスは)十二人を呼び寄せ、二人ずつ組にして遣わすことにされた。その際、汚れた霊に対する権能を授け、旅には杖一本のほか何も持たず、パンも、袋も、また帯の中に金も持たず、ただ履物は履くように、そして「下着は二枚着てはならない」と命じられた。また、こうも言われた。「どこでも、ある家に入ったら、その土地から旅立つときまで、その家にとどまりなさい。しかし、あなたがたを迎え入れず、あなたがたに耳を傾けようともしない所があったら、そこを出ていくとき、彼らへの証しとして足の裏の埃を払い落としなさい。」十二人は出かけて行って、悔い改めさせるために宣教した。そして、多くの悪霊を追い出し、油を塗って多くの病人をいやした。 それから、イエスは付近の村を巡り歩いてお教えになった。