オダギリジョー主演の映画『エルネストErnesto』を観て、すぐに図書館で原作『チェ・ゲバラと共に戦ったある日系二世の生涯―革命に生きた侍 El samurai de la revolución』を借りて読んだ。
映画は、原作の中でも語られている恋人とのロマンチックなエピソードを大きく扱っていたが、それはそれで、フレディー前村ウルタード(チェから名付けてもらったゲリラとしの偽名が、チェの本名であるエルネストだった)というボリビアの日系二世、真摯に生きた若者の真実を突いていたと思う。
もちろん私はキリスト者として、革命であれ戦争であれ暴力、まして殺人には反対だが、1960年代のラテンアメリカに生きる若者に、他に選択肢がなかったこともよく理解できた。
またキューバの人々の視点から見ると、キューバ危機とはこのようなものだったのか、と納得もできた。
キューバで成功し、ボリビアで失敗した革命も、同じ頃に盛んになっていった「解放の神学」も根はひとつ。貧しく抑圧された人々へのあわれみの心と、彼らをどうにかしてあげたい、という共感的行動から発している。
そして、ラテンアメリカのシスターたちの、チェ・ゲバラへの熱狂ぶりは、以前は不可解だったが、この映画とフレディーの姉や甥が書いた著作によって、私の腹に落ちたものとなった。
それにしてもオダギリジョーさん、全編を通してのスペイン語のセリフを、ここまで違和感なく感情をこめて演じてくださったあなたに脱帽です。