『青い城』をお勧めします

『赤毛のアン』で有名なモンゴメリの異色の作品です。

あなたは、もし、自分の人生があと1年で終わると知らされたら、何をしますか?

主人公は、29歳の誕生日を迎えたばかりの「オールド・ミス」のヴァランシー・スターリング。周囲は彼女を、容貌に恵まれず、誰からも愛されたこともなく、何の取り柄もない女と思っていましたが、ヴァランシーは、心の中では自分が女主人をつとめる「青い城」に住んでいたのです。愛情深くない母親と未亡人の従姉と共に、退屈な毎日を過ごしていた彼女に、全く思いがけない余命宣告が下されます。そして悩んだ末、「残された人生を意味あるものにしたい」と思い、周囲があっと驚く冒険へとヴァランシーは旅立ちます。

彼女を決断させたのは愛読書の「恐れは原罪である」という言葉でした。

カナダの美しい自然、ヴァランシーを取り巻く一族の人間模様、冒険で出会った男性バーニイ・スネイスの不思議な魅力などが、ヴァランシーの変化と合わせて生き生きと描かれています。

新しいチャレンジに尻込みしたくなるとき、「恐れは原罪である」と、ヴァランシーが背中を押してくれるのを感じたくて、つい手にとって読む本です。

「自分は愛されない」「自信が持てない」と感じる方に、お勧めです。

(Sr.中本敦子)

モンゴメリ著 『青い城』  角川グループパブリッシング    (2009/2/25)