調布修道院耐震工事 No.18 ステンドグラスの工房を訪ねました

「ご訪問」のガラスピースの鉛を取る作業中の志田先生

昨年9月、主聖堂からステンドグラスを外す作業をしてくださり、設計と建築の進捗状況とにあわせて一部のステンドグラスの修復を始めてくださっている志田政人先生のアトリエ(神奈川県愛甲郡愛川町)をお訪ねしました。

アトリエの真ん中には、建築中の修道院聖堂に再び戻される予定の中の1枚『ご訪問』が横たえられ、修復の真っ最中でした。ガラスをつなぎ合わせている鉛を外し、ガラスの縁に残ったパテを油で溶かして、耐震性のある別の種類の鉛に交換したり、元の聖堂の窓のサッシで区切られていた部分を繋ぎ合わせたりと、気の遠くなるような作業工程です。それを、志田先生はいかにも楽し気に説明してくださいました。先生のステンドグラスにかける並々ならぬ情熱に圧倒されました。

またアトリエには、ガラスを焼く窯のほか、たくさんの修復中のステンドグラスやその資料(下絵など)があり、次から次へと先生の説明付きで貴重な芸術作品を見せていただいて、まるで美術館に行ったような気分でした。

偶然にも、パリのノートルダム大聖堂が火災にあった直後でしたので、その修復がどのように行われるかの説明もしてくださいました。

長い時間をかけて仕上げられ、それが教会や修道院のような祈りの空間にあるものならば人々の祈りによって磨かれ、同時に歳月によって熟成し、再び修復され・・・ステンドグラスの不思議な魅力を深く感じさせられた一日でした。

玄関ホールに置かれた『受胎告知』(イギリスのダニエル・ベル工房、1890年頃)。手前は、エミール・ガレのランプ。

古い木枠にはめられたステンドグラス(オックスフォードの教会から外したもの、1880年頃)。

今では入手できないというフランス製の顔料

600度くらいの温度でガラスを焼く窯