女子高の教師をしていた時の私の特技、何だと思いますか?
ウエストを折り返して、短くしているスカートを見抜くこと。
「あなた、短くしているでしょ?」と、わずかに短くしている生徒にそっと近づいてささやくと、こう言われたことがあります。
「なんで、他の先生はだませるのに、先生はだませないの?」
だって、服装の点検がある時に、一人ひとりの上着の丈とのバランスを見て、記憶しているから。それに、ウエストを折ると、スカートの裾線が不自然に波打ちます。
他の先生でも、「特技」のある方がいらっしゃいました。
「先生のクラスの〇〇さん、今日はお化粧していますよ」。
「頬や額のパール感」が決め手だそうです。
やれやれ、休み時間に教室まで走って、確認しなければなりません。
その他「マユケン」(眉毛を整えているかどうか)が得意な先生、髪の色に関して「神業」的に見破る先生などいらっしゃいました。
これを読んでいるみなさんは、校則だの風紀検査だのばかばかしいとお思いでしょうか。
私は、校則で規程されている限りは、守らせようと努力しました。中には、いつの時代に何をもって決めたのか理解できないような規則もありましたが、たいていは納得できるものでした。
いずれにせよ、職員会議で何らかの議論(時には、何時間も何日もかけての)をされての「校則」です。
そして何より、生徒に「教師をだますこと、大人をだますこと」を覚えさせたくない、という思いがありました。人をだまして、後でぺろんと舌を出しているような生き方を、ティーンエージャーのうちからさせたくはなかったです。いつか大人になって、だましたりだまされたりする世の中に出ていくまで、せめて高校生までは、正直者がばかを見ない世界で生きさせたかったです。
イエス様が「律法の廃止でなく完成」とおっしゃる時、文字通りの順守以上のものを求めていらっしゃいます。律法の本当の意味を深める、と言ったらいいでしょうか。
人を殺さなければよいのではなく、人を兄弟姉妹として本当に愛する。その時、律法は完成に近づくのです。本当に愛するとは、その人に死ではなく命を与えることだから。
ここまで書いて、まさに今日、姉妹に向かってひどい言葉を投げつけてしまった私は、律法を完成させる方向ではなく、破壊させる方向に動いてしまったなあ、とため息です。
イエス様、「人にはできないことも、神様にはできる」(ルカ18:27)というあなたの言葉に信頼を置いて、歩ませてください。 (Sr.斉藤雅代)
≪聖書箇所≫ マタイ 5:17-37
(そのとき、イエスは弟子たちに言われた。)「わたしが来たのは律法や預言者を廃止するためだ、と思ってはならない。廃止するためではなく、完成するためである。はっきり言っておく。すべてのことが実現し、天地が消えうせるまで、律法の文字から一点一画も消え去ることはない。だから、これらの最も小さな掟を一つでも破り、そうするようにと人に教える者は、天の国で最も小さい者と呼ばれる。しかし、それを守り、そうするように教える者は、天の国で大いなる者と呼ばれる。
言っておくが、あなたがたの義が律法学者やファリサイ派の人々の義にまさっていなければ、あなたがたは決して天の国に入ることができない。あなたがたも聞いているとおり、昔の人は『殺すな。人を殺した者は裁きを受ける』と命じられている。しかし、わたしは言っておく。兄弟に腹を立てる者はだれでも裁きを受ける。《兄弟に『ばか』と言う者は、最高法院に引き渡され、『愚か者』と言う者は、火の地獄に投げ込まれる。だから、あなたが祭壇に供え物を献げようとし、兄弟が自分に反感を持っているのをそこで思い出したなら、その供え物を祭壇の前に置き、まず行って兄弟と仲直りをし、それから帰って来て、供え物を献げなさい。あなたを訴える人と一緒に道を行く場合、途中で早く和解しなさい。さもないと、その人はあなたを裁判官に引き渡し、裁判官は下役に引き渡し、あなたは牢に投げ込まれるにちがいない。はっきり言っておく。最後の一クァドランスを返すまで、決してそこから出ることはできない。》」
「あなたがたも聞いているとおり、『姦淫するな』と命じられている。しかし、わたしは言っておく。みだらな思いで他人の妻を見る者はだれでも、既に心の中でその女を犯したのである。」《もし、右の目があなたをつまずかせるなら、えぐり出して捨ててしまいなさい。体の一部がなくなっても、全身が地獄に投げ込まれない方がましである。もし、右の手があなたをつまずかせるなら、切り取って捨ててしまいなさい。体の一部がなくなっても、全身が地獄に落ちない方がましである。」「『妻を離縁する者は、離縁状を渡せ』と命じられている。しかし、わたしは言っておく。不法な結婚でもないのに妻を離縁する者はだれでも、その女に姦通の罪を犯させることになる。離縁された女を妻にする者も、姦通の罪を犯すことになる。」》
「また、あなたがたも聞いているとおり、昔の人は、『偽りの誓いを立てるな。主に対して誓ったことは、必ず果たせ』と命じられている。しかし、わたしは言っておく。一切誓いを立ててはならない。
《天にかけて誓ってはならない。そこは神の玉座である。地にかけて誓ってはならない。そこは神の足台である。エルサレムにかけて誓ってはならない。そこは大王の都である。また、あなたの頭にかけて誓ってはならない。髪の毛一本すら、あなたは白くも黒くもできないからである。》
あなたがたは、『然り、然り』『否、否』と言いなさい。それ以上のことは、悪い者から出るのである。」